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2006年08月04日

テーマ vs スタイル

写真って面白い。
が、そこまでこだわって何かを取る、ということはしてこなかったし、写真集というものにも特に興味はなかった。
が、最近になって2冊、写真集を手に入れた。
一つは南国のはしくれ九州生まれの自分の誕生日を祝って友人が贈ってくれたプレゼント「モルディブ―青い楽園/三好和義」、もう一つは、友人のプレゼント用に買うも自分でも欲しくなって結局もう一度買ってしまった「small planet/本城直季」
で、そんな2つの写真集を見比べていて、あることに気付いた。

「写真」の世界にも「画風」があって、しかもその「画風」が作家の拠り所たる作家性みたいなものに密接に関わって不可分なものになっているんじゃないかってコトに。

よく言われることだけど、既存の写真という概念は「真を写す」っていうことが、その光学的生い立ちからもある種当然の前提として不問に付されてきたような節がある。
その上で、一ノ瀬 泰造は戦場カメラマンであり、アラーキーはちょっとエッチな雰囲気で、マンレイは写真に芸術と名乗らせることに成功したわけで。
不勉強を晒すことを恐れずに言ってみると、上に挙げたような写真家というのは、どちらかというと「テーマ」の人のように思う。
あくまでも「真を写す」ことを前提とした上で、そこに何を写し取るのかに心を砕いて、写真を撮ってきた人たち。
言い換えれば、構図やアングル、モチーフへのこだわり、そして何よりも伝えるべき「テーマ」が作品の核になってる人たち。自分の持ってる2冊の写真集で言えば、三好さんのはこっちに当たる。

もう一つ、最近の潮流として自分が感じているのは、「真を写す」ことにこだわらずに、「真」に自分の美的感覚を投影した「写真」を撮っている人たち。
もう少し言うと、その美的感覚を投影するためのテクニックをもって、一目見て、「あ、誰々の写真だ」とわかるような「スタイル」を備えた写真を撮る人たち。
こっちの路線は、赤外線で写真を撮るという手法を用いた宮澤正明あたりがその走りで、最近じゃ「さくらん」の監督も努めちゃった蜷川実花、超リアルなミニチュアにしか見えない写真で有名な前述の本城直季なんかが、「ぱっと見てすぐに誰かわかる」くらいに作風が前面に押し出された写真家だと思う。

で、そんな中見つけたのがこの人。(これが本題です)
花火写真家の福田さんという人。
最初はご本人の写真ではなく、mixiで「福田流花火撮影術」なる謎のワザを繰り広げている人の写真を見たのがきっかけだったのだけど、この方法で撮った写真というのがすごい。
3Dの花火ジェネレータ的なプログラムで描画したんじゃないかと思うような「写真」がとれちゃうんだそうなのだ。
正直、最初に見たときは「あー、CGね」と思ってしまったのだけれど、何でもこの福田さんという人は、「自分なりに花火の美しさをカンペキに表現した写真を撮りたい」という一念で、こういう写真の撮り方を編み出したんだとか。
メッセージ性、みたいなところで行くと、ハッキリいって特に伝わることなんてないんだけど、このわかりやすいキレイさっていうのは、特筆に価する。

「テーマ」主導と「スタイル」主導、どっちがエラいのかなんて野暮な議論はしてもしょうがないけれど、少なくとも自分みたいなライトユーザーにとっては、そんな「スタイル」ありきの写真というのは、とてもわかりやすくて、楽しげなものとして映る。
少し脇道にそれると、新庄も亀田も、かつてのスポーツマンシップから見ればちょいとアレげな存在なのかもしれないけど、それでもそれぞれのスポーツへの関心をぐぐっと広げたのは確かなわけで。
どんなジャンルであれ、そのジャンルへのエントリー層の興味をぐぐっと引き付けてくれるようなプレイヤーというのは、とても大事なものじゃないだろうか。
「良い試合、好カードを組めば人気は高まる」というのがボクシング関係者の言い分だそうだけど、視聴率ベースでゴールデンの世界戦(10%未満)と、亀田の出た試合(33%)を比較すると、普段ボクシングなんか見ない一般層にとって何が「魅力的」なのかがよく分る。

もちろん、深いテーマにもリーチしていきたいけど、どうせならその上でやっぱり、分りやすい楽しさって大事にしていきたいなぁ。

投稿者 joypod : 2006年08月04日 00:20

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コメント

最近の私のブームは、伊藤若冲です。
色の使い方が美しい。
http://www.jakuchu.jp/

投稿者 : 2006年08月06日 12:25

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