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2006年02月24日

第五回 KABUKI

東京で歌舞伎を見るといったら東銀座にある歌舞伎座なのでしょうか。
昨日、母親が当てたタダ券で歌舞伎を観覧してきました。
一度行ってみたいなとおもってはいましたが、値段と銀座というなかなか行かない場所ということもあり、
「このままだと一生いかないかな」と思っていたところだった。

会社を少しばかりはやめに上がり、向かうは東銀座。
地下鉄一本でいけるのはよかったが、駅についたらびっくり。
地下鉄の出口階段で長蛇の列…。つっつかれたのか、
あんちゃんが後ろの男の人に食って掛かって一触即発の様相が見られるような人・人・人…。
しかしよくみると、大半がおじい様おばあ様。
この東京で、ひしめくように人がいるにもかかわらず、
一人一人の動きがやたら遅い(笑)
混雑しているのに、なんとなく平穏な(さっきの人たち以外)感じがちょっとしました。

どうにか混雑した階段をぬけると、目の前に歌舞伎座の正面が現れます。
近くによると、さすがにすごいインパクトです。

歌舞伎座10.jpg

この辺もしっかり昔とは様相が違うようで、この歌舞伎座以外は全て大きなビルが立ち並んでいます。
往時のこの周囲の様子を想像するのは難しいのかもしれませんが、
ここが大正時代以降市民の娯楽の殿堂であったことは間違いないのでしょう。
それが、いまだにこうやって多くの人たちに支持されて残り続けていると考えると、


感慨深いものです。

で、歌舞伎鑑賞のために私も準備をします。
まずは中で飲み物を買うと多分高そうなので、自販でお茶をゲット。
歌舞伎でお茶とえば、これです。
060216_1612~001.jpg

そして、650円で解説が聞けるイヤホンガイド
(解説の電波をキャッチする機会とイヤホン)をかりて乗り込みます。

劇場内に入ると目に入るのは、赤い絨毯。
歌舞伎座7.jpg

昔国会議事堂の社会科見学で見て以来の良さそうな赤絨毯でした。
確か良いじゅうたんは、少し赤黒い波模様のシミができるのですが、
ここの絨毯にもしっかりできていました。
内装は、大正ごろに立てられた感じが伝わってくる趣のあるつくりでした。
パリでオペラ劇場をみましたが、
なんとなく構造の雰囲気は似ているものを感じました。

舞台を中心にコの字で廊下が作られており、各階にお弁当やお菓子を売っているお店、
料理屋さんに休憩所やロッカーなどが配されております。
さらに一階には名店街のようなものもあり、高級なお土産やお買い物もできてしまいます。
入っている飲食系のお店も吉兆が入っていることからも分かるように非常に高級です。
一階・二階のセレビリティーは、開演前にお弁当やさんにお弁当を予約して、
2500円位する幕の内弁当を召し上がっていたようですが、
私は思い切って900円の寿司弁当を…。
060216_1807~001.jpg

までも、これで十分に雰囲気は味わえるので十分なわけです。
さらにすごく気になっていた、たい焼きやさん(ちゃんと焼いてる)で
一尾買ってみたのですが、コレが絶品!!!
生涯で食べたたい焼きの中で一番うまいんじゃないかといううまさ。
薄皮で、カリカリ触感の表面とやわらかい皮の内部。
そして適度に甘いあんこと紅白の白玉!!最強!!!
残念ながら店の名前失念…。

ちなみに私はこんな感じの席で見ていました。

歌舞伎座2.jpg

舞台はよく見えましたが、肝心の花道が一切…。
しかし以前、シカゴを有楽町の劇場で見たときは一番端で、
舞台で何をやっているのか半分ぐらい分からないという有様だったので、
それよりはよかったかなと…。

と、なんとなくサイド話をしてしまいましたが、そろそろ中身の話を。

今回の演目は、
①「梶原平三誉石切」
②「京鹿子娘二人道成寺」
③「人情噺小判一両」
えーと内容については、この辺みて。(笑

チョー簡単解説でいけば、
①源平合戦時の武将梶原平三景時がどれだけ優れた人物かを讃えるいい話。
⇒典型的な歌舞伎(カトちゃんのネタっぽやつです)
②「道明寺もの」といわれる、道明寺の鐘にまつわる愛憎劇?
⇒白拍子役の二人の役者が披露する踊りがメインのダンス劇
③江戸時代の町人と武士が織り成す深い人情劇
⇒作られたのが昭和初期ということもあり、その当時の社会状況を反映させた
笑いどころと感動どころがしっかり入った一番分かりやすい劇(時代劇っぽい)

ってな感じ。

①は期待通りでたのしめましたが、②はちょっと踊りが多すぎて眠くなりました…。
③は役者同士の会話のやり取りが、頻繁に笑いを誘うようなつくりになっており、
そして最後には物語りを通して伝えたい核をちゃんと見せてくれる、
分かりやすく楽しい作品でした。

そして、開演中最初びっくりしたのですが、
役者がいい演技をしているときに、客席から
「大和屋!!」とか「播磨屋!!」「高麗屋!!」などと
威勢の良いおじさんの掛け声がかかってくるのです。
初めて聞いたときはびっくりしたのですが、
この掛け声結構タイミングがあって、
役者がしゃべる前とか演技の邪魔にならないタイミングで言わなくてはいけないらしくて、
多分掛け声をかけている人は、何十回何百回と見ているんだろうなあと。
調べてみたところ、こんな感じで色々と覚えることやご作法があるようです。

もし歌舞伎以外の演劇でこんなことをやったら、
会場外に出されてしまいそうですが、
演者と観客一体となって楽しむ江戸時代から続く
「エンターテインメント『歌舞伎』」ならではの楽しみ方なのでしょう。
しかし、おじさん達も役者顔負けのいい声をしていました。

幕間も含めて4時間が過ぎて帰途につきました。

歌舞伎座3.jpg
夜はこんな感じ。

見終わってじっくり考えました。

歌舞伎って、楽しむべきは確かにストーリーなのですが、
それに加えてそのストーリーを「どんな役者」が「どんなアレンジ」で
演じるかが大事なようです。
道明寺も色々なアレンジがあり、役者ごとに演じ方が千差万別であり、
お客は同じ演目でもまったく違った楽しみ方ができるわけです。
もちろん、シェークスピアの作品などでも同じことがいえることですね。

確かにこれは、演劇だけでなく様々なエンタメメディアで行われていることですが、
原作アレンジのオリジナリティがどれだけ巧妙にできているかが
とても大事になってきます。ただ変えればよいというわけではないでしょう。
オリジナルのストーリーが伝えたい核は残しつつ、それをどう伝えるか。
その伝え方のアレンジに多くの作家や役者が苦心してきたのでしょう。
「オリジナリティ」とは、何をどの様にフィーチャーして見せるかが大事だが、
それは要するに、「お客さんが何をみたいのか?」、
「お客さんが見て何がうれしくなっちゃうか?」をよく考えることなのかなと、
歌舞伎を見てそう感じました。


数百年の歴史を持つ日本古来のエンターテインメントとして、
多くのお客を楽しませ、お客の要望にこたえてきた歌舞伎だからこそ、
今でも多くの人を楽しませることができるのでしょう。

今改めて、歌舞伎に習うことは多いといえましょう。

投稿者 joypod : 2006年02月24日 01:40

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